猫のいる暮らしと陶芸家


 
陶芸家の松本かおるさんとは、数年前にお仕事をご一緒してからの飲みともだち。あんなに美しくてたおやかなのに、豪快で、気持ちがいい。お店でビールがなかなか出てこないと、自分でビール注ぎに行ってしまう人。それを見た塚田さんちの長女の多笑さん(小5)が、「美人て…」とつぶやいたのが面白かったです。美人。見目もそうだけれど、心も美人なひと。
 
そんなかおるさんの愛猫、ウニちゃんを3日間ほどお預かりすることに。
でもこちら動物が苦手でして…とくに羽・毛のある生き物が。中学校まで通ったピアノ教室は複数の猫が自由に出入りするおうちで、レッスン中にピアノを弾いている手の上(=鍵盤の上)を猫たちがのっそり歩いたり、膝にぴょんと乗ってきたりして、血液の温度が下がる思いがしたものです。
 
それでもウニちゃんを預かることになったのは、ウニちゃんとは何度か会っていて、おとなしいうえにそれなりにわたしに懐いている気がしていたから。動物が得意じゃないからこそ、変に構わないのがよいのではないかということです。
  
大きな不安があったわけですが、しかしまあ、ウニちゃん、なんともおりこうです。湯たんぽ的なものを敷いて、(日本語で)こちらにどうぞというと大抵そこに座ってくれます。大事なペーパーコードの椅子をカリカリしがちなのですが、(日本語で)ダメよというと大抵やめてくれます。そして仕事をしている間じゅう、かたわらの湯たんぽ的なものの上にほぼいてくれます。仕事に集中していると、姿勢を変えるウニちゃんの気配に、「はっ!いたんだ!」と思うくらい静かです。ちょっと出かけて帰ってくると、「にゃー」といいながら玄関に迎えに出てくれるのも癒し。
 
動物なんて絶対一生飼わない、飼っても爬虫類か両生類などの羽・毛がないものだと思っていましたが、ここにきて羽・毛系、ありなのか…。 動物飼う問題はもう少し先送り。それにしてもウニちゃんは、かおるさんがつくる器でごはんとお水をいただきます。美しいもので育てられた美しい猫。背筋が伸びます。(緒)