有明美術館へ


 
古民家再生で知られる降幡広信先生が設計された「有明美術館」が11月末に閉館になってしまうというニュースを新聞で見て、閉館前に一度と思いつつ、なかなか週末の予定がつかない。そして閉館ぎりぎりの29日、出張が入ったのをこれ幸いと、出かけてきました。この日は朝から小雪が舞っていたにもかかわらず、まだスタッドレスに履き替えていなくて戦々恐々としましたが、晴れ間がでたことにほっとして出発。
 
落ち葉に埋もれるようにして立つ有明美術館は、どちらかというと楚々としたたたずまい。降幡先生の古民家再生の事例のイメージが強いせいか、よりそう感じるのかもしれない。中に入るとこげ茶の木の存在感があるけれど、透かし窓や吹き抜け部のトラス下のあしらいなどが繊細で、やはり、全体としてとても清楚な印象の建物。出迎えてくれた館長さんたちの雰囲気そのもの。建物と人はそうやって一緒に育って寄り添っていくのかな。訪れる人の雰囲気も静か。来場者の減少が閉館の理由というから難しいけれど、ひとりきて、ひとり帰り、またひとり来て、ひとり帰るといった感じがとても心地よい。
展示は降幡先生の手掛けた建物たちの写真展。写真をみていると、今、事務所として使わせていただいている古い民家も、もっと活用してあげなくてはと反省。
 
新聞の記事によると、「よい後継者が見つかれば」とありました。ぜひ見つかってほしい。先日取材した芸術家の方は、「どこかに自分の作品を展示収蔵する良い場所があったらいいんだけどね」とおっしゃっていたけれど(どこまで本気かわからないけれど)、それもすてきだなあと妄想。
いずれにせよ、よい方が継いでくださいますように。(緒)