工芸の五月 今年も、もうすぐ



4月に入って2日ともうっすらと雪。せっかくひらいた梅に雪が積もって、風情のあるような、おやげないような。

でも、年度末のお仕事が次々と納品になっていたのを書き損じていたので、まだ3月気分でご案内するにはちょうどいいかとも思いつつ…まずは『工芸の五月』誌から。
 
工芸の五月とは、松本市で毎年5月末の週末に開催されているクラフトフェアにあわせて、松本市内の各所で工芸に触れ合えるようにとはじまった催し。その公式ブックの編集や執筆などに携わらせていただくようになって、もう10年。冊子も10号目となります。

10年、10号と書いて自分でも驚きましたが、初期の頃、三谷さんや、(今でも同誌の編集執筆に一緒に携わるかつての同僚だった)あやのちゃんと、ああでもないこうでもないと、悩みながら松本の飲み屋さんで酌み交わしたことなんかを思い起こすと、まあ10年くらい経つか…とも思ったりします。
 
今年の号については昨年の秋頃から取材や編集を重ねてきましたが、3月の末頃に出来上がってきました。
 
塚田が取材執筆を担当しているのは、池上邸で開催される企画展。今年は、伊那市で花や古道具を扱う〝草の音〟と、額縁額装の〝タクラマカン〟による企画展です。その原稿のなかで、「縁取られたものに、人はふと心を留めます。ものに宿った思いに見る人の心象が重ねられ、情報は更新されます。ものは見る人に応じて語りかけるのです。」と。素敵な文章を書くなあと、校正をしながら何度もこの部分を読み返しました。
私が取材執筆を担当しているのは、「建築家とめぐる城下町」という連載。2010年から実際に町で行われている「建築家と巡る城下町 みずのタイムトラベル」という、テーマに沿って建築家とめぐるまちあるきを、追レポートするものです。藤松さんをはじめとした建築士の先生のお話をとても楽しくて、もう6年目になります。
 
この町歩き企画「建築家と巡る城下町 みずのタイムトラベル」が、2018年の松本市景観賞の最優秀賞に選ばれました。多くは建築物が受賞するもので、「活動」が選ばれることは画期的なこと。企画を実施されている人場研(まんばけん)や、建築士のみなさんの長年の努力と思いが評されたもの。そして、景観において、かたちをつくることに加えて、伝えることの大切さが評価されたということ。うれしい。
 
工芸の五月誌。多くの人が手に取ってくださいますように。そして、多くの人が5月、松本に出かけてくださいますように。
 
いとぐちは、クラフトフェアの週末は主に六九クラフトストリートのお手伝い。こちらもぜひお立ち寄りください。(緒)
 
編集長・デザイン/柏木早苗
アドバイザー/三谷龍二
発行/工芸の五月実行委員会