景観と風景


景観という言葉よりも、風景という言葉が好きです。
そこにある物理的眺めが景観で、そこに営みを重ねたものが風景という定義が、わたしのなかにあります。ただ、世間的な区分けは別として。
 
今日出かけた会議は、長野県の景観審議会という会議。
今年度から委員を仰せつかりました。担当の方がかつての新聞連載を読んでくださっていたことがご縁です。その連載は2009年の春から5年弱ほど、信濃毎日新聞の朝刊で続けた『旅、出かけませんか』。長野県内のガイドブックには載らないような、でもとてもすてきな場所を市町村単位(ときには地区単位で)旅する連載でした。

「え、うちが信毎に載るの?」
ふらっと出かけて伝えると、地元の人の反応はおよそそんな感じ。載りますよ、なんなら全国誌にだって載っていいくらい魅力的ですよ? 読者の人もそうですが、なにより、その場所で営む人や暮らす人に伝えたいという思いがありました。みなさんが暮らしている場所、とってもすてきですねって。
  
とても楽しくて思い入れのある連載で、なんならあと5年くらいできた気もするのですが、それを見てくださって、終わってからずいぶん経つのにこうして声をかけてくださったことがとてもうれしくて。審議会という堅さはさておき、なにより風景のこと! わたしが役立つかどうかもさておき、仕事として、うれしい。
  
そして今年度、初の会議だったわけですが、事前に届いたのは厚さ2cmにもおよぶ資料。わー。読みました。一言一句ではないですが、自分なりにメモを書き留めながら。グーグル先生も総動員して、学生時代の教科書にも登場してもらって。でももう少し最新の情報も得たいと書籍も検索。興味深かったのは、意外と教科書的なものはわたしが学生の頃から大きく変わっていないのかもしれないということ。教科書的なものはやめて、思想的に面白そうな書籍を数冊購入して、ぱらり、ぱらり。

会議当日、結局、会議らしい会議の気配にちんまりし、きっと、いつもよりも小さな声で伝わったか伝わらないのかわからないまま終わりました。
それは、わたしに自信がないから。
いとぐちの仕事はすべて風景をつなぐことにつながると思っていますが、もっと勉強して、もっと知識を携えて、長野県の風景のためにできることに関わっていけたらいいなと思った3連休明けの午前でした。

いやしかし、願わくば3連休明けの午前はもう少し軽やかな仕事からはいりたいものです…。(緒)