evam eva

長野県の美術館・博物館を運営する学芸員20人が選ぶ20人の作家の展覧会「シンビズム 」。去年の第1回に引き続き、今年も12月に第2回が開催されるはこびですが、この展覧会の図録の校閲をやらせていただいています。
 
そのなかでとある作家さんの<おもな発表履歴>のなかに出てくるギャラリーの店名がなにやら不思議。調べてみると綴りが違う。ほっとして原稿を修正して、公式サイトをまたじっくり見ると、なんともすてきそうな空間。所在地は山梨県中央市。気になるなあと思っていたら、漆の作家さんからのDMが届き、近日中にここで展覧会をやるとのこと。そうしたら塚田が前から気になっていたアパレル&ギャラリーだそうで、山梨取材に合わせてランチを予約してくれまして、漆の展示には間に合いませんでしたが、塚田、坂田、山口の3人で連れ立って、秋の取材&視察(決して遊びではない)に出かけてまいりました。
  
甲府南ICから8分、というものの、the農道。民家もなくなって、耕作放棄地と思われるような荒地があったり、不安な気持ちを募らせながら向かった「evam eva」。道路や駐車場からは死角になっていてわからないのですが、迎えてくれたのはとても立派な長屋門。そこから雑木林のなかをほどよく曲がった小径が続き、うまい具合に奥まで見渡せず、期待感が募ります。設計は「奥野公章建築設計室」さん。evam evaの設計のはじまりを丁寧に記されていました。  
 

出されたおしぼりの布地の美しさに、お手洗いの手拭きのタオルの心地よさ。さすが、紡績メーカー。布地にとどまらず箸や器のひとつひとつが美しく、窓からの竹林の眺めはため息が出る。「日々のくらしを心地よく過ごす」がブランドコンセプトだそう。確かに、心地よいものが心地よい空間にほどよく配されていて、そこかしこが心地よく、ついうっかりのんびり。
 

帰路、塚田が「同じ感覚を、社員旅行で行った高松の〝まちのシューレ963〟や、奈良の〝くるみの木〟でも感じたね」と。そうそう、あのときの満足感と焦燥感。長野でもこれができないはずがない、いとぐちはもっと地域のことを伝えられるのではないか、もっとそういう空間をつくれるのではないか。
しかし…そのときはやる気に満ちあふれるのだけれど、ときが経つと、日々に埋もれて手つかずにしてしまう。いとぐち戦略会議だ!と言って寄り合っても、ついおいしいごはんとおいしいお酒に手が伸びてしまって、まあがんばろっかで話はほかに逸れていってしまう。ここはひとつ、今度こそがんばりましょうか。ひとまずここに書いて、この気持ちをなるべく長く忘れないようにしたいと思います。(緒)
 
しあわせそうな塚田さん。