飯山の週末②「おいしく、楽しく、余すことなく」

第6会信越県境地域づくり研究会の2日目は、地場産の食材でまとめた朝食から里あるき、古民家でのワークショップ、収穫体験、そして青空レストラン。早朝3時くらいまで参加者とともに、いいやま森の家で熱く語らってしまった故、若干の疲労は否めないものの、朝食のハウスサンアントン(野沢温泉村)の黄桃ジャムのおいしい余韻を残しながら、里あるき&ワークショップ。ウッドチップを敷き詰めたやわらかめの遊歩道の途中、小雨があたるものの森のなかなら傘がいらないくらいで、涼やかな風が心地よい朝。なにより信州いいやま観光局の高野さんがガイドを務めてくださる里あるきが楽しくないわけがなく。自然への敬意と親愛、ときに年齢に由来するユーモアを交えながら森を抜け、ワークショップ会場となる古民家へ。
 
正直、昨日あれだけ議論を交わしてなお、さらにワークショップとは堅すぎではなかろうかと思ったところもありました。しかし、スローフードをテーマに、自分がやれていること、やりたいこと、やれたらいいなということを出し合ったセッションの最後に、主催者のひとつである上越市創造行政研究所の内海巌さんが、「昨日のディスカッションを焼き付けるための時間」というお話をしてくださって、なるほど、こういう会にありがちなのはいい時間を過ごしたということに満足して具体的なミッションを置いてきがちなこと。わたしがやりたいことはなんだったか。そこに立ち戻れた時間でした。
 
そして青空レストラン。ハウスサンアントンの片桐シェフの料理の楽しいこと。トマトやキノコを塩漬けして発酵させてから粉末したり、塩麹とブルーベリーに漬けたみゆきポークを野沢菜で燻製したり。地元のいつもの食材が、こんなに驚きと楽しさを運んでくれることに、調理人の仕事の素晴らしさと地元素材への感謝を感じた2時間でした。
 
なべくら高原で家族とともに農業を営む木内マミちゃんの畑で収穫させていただいたキャベツや野沢菜をお土産に抱えて帰路へ。「大根ですか?」「いえ野沢菜です」というやりとりを何度か交わすのも、なんだか楽しい時間。自宅でキャベツをさっそくひと茹でして塩胡椒オリーブオイルでシンプルにお肉の付け合わせ。野沢菜は塩と醤油とみりんで浅漬けに。ついでに実家から届いた栗をぬるま湯に漬けて皮をやわらかくしつつ虫の追い出し、翌日はアク抜き皮むきを経て渋皮煮と栗ご飯に。ついでに大根を煮付けて皮はきんぴらに。だいぶ疲労が溜まっていたのに台所仕事が止まらなかったのは、この2日間でわたしなりに解釈したスローフードの考え方のひとつが「身の回りの食べ物を大切に、おいしく、楽しく、余すことなくいただくこと」だったから。
 
そうは言ってもできることしかできないから、できることからコツコツと。(緒)