諏訪地方の文化と風景をつくる人たち

角寒天をつくる企業さんのウェブサイト制作のための取材で茅野へ。言わずと知れた寒天の産地ですが、現場の取材は初めて。朝が早くてつらくありましたが、楽しみに出かけました。

霧が出ていたこの日は思っていたより冷え込みは厳しくなくて取材陣はうれしいけれど、寒天にとってはとにかく晴れて気温が下がってほしいとき。去年は暖冬で、通常70日ほどの製造日が50日ほどしかできなかったのだとか。

機械生産を試みたこともあるそうですが、厚みのある角寒天をつくるには機械製造は難しく良いものができなかったのだとか。自然の力の偉大さです。

日の出と八ヶ岳と寒天庭。この日、干されていたところ天は、みんな南側を向いています。そもそも寒天は「凍結→融解→乾燥」を繰り返し、水分が抜けてできあがります。北側をむけることで凍結を促し、南をむけることで融解を促すのだそう。つまり今日は融解の日。

自然の力がつくりだす角寒天ですが、こうした人の知恵もすごいし、海藻を保存食にして食材を固めて食そうと考えついたこともすごい。かつては冬の諏訪地方は上空からみるとこんな寒天庭が一面に広がり、冬の風物詩だったそうですが、徐々に製造会社は減り、現在はわずか9社とのこと。

食文化の変化とひとくちに片付けてしまうにはもったいないほど、寒天には食物繊維やアガロペクチンなどなど、食品としての機能がたっぷりで、もっと食べたい食品。寒天組合さんのレシピのページがとても参考になります。そして、おいしく健康にいただいて、この自然の力と人の知恵が詰まった美しい風景を残さなければ。

霜が降りた、朝一番の角寒天。みるからに寒そう。各工程を撮影して午後に再びおじゃまするとすっかり霜は消えていました。「良い粘り気にしあがってきています」と、社長さん。触るだけでわかるのだとか。さすが…。

朝、寒天庭の囲いの竹に降りた霜も、美しい。しかし、年末に買い替えたiphone12のカメラがすこぶる性能がよくて驚きます。もう…デジカメを持ち歩かない…かもしれない。
 
ウェブの公開は3月予定。年度末の気配がひしひしとする今日このごろ。がんばろう。(緒)