いいやま旅々vol.8

飯山は、血縁もなにもないけれど、なんだか近しいまち。
いいやま観光局が発行する「いいやま旅々」という冊子の制作のお仕事をしていることも、そう思う理由のひとつだと思います。「いいやま旅々」に携わらせていただいて4年ほどでしょうか、基本的には年に2回の発行で、飯山の心うきたつ事柄とその旅のプランをご紹介する冊子です。ありがたいのが、観光局のみなさんが、わたしたち制作陣の〝うきうき〟を最大限尊重してくださること。だからこそ触れるほどに温まる飯山への愛をいかに言葉にするか、どうやって写真に残してもらうか、その模索に楽しさと責任感をより強く感じられる仕事です。基本、年に2回ですが、この秋1年ほどのブランクを経てvol.8が無事に発行と相成りました。ほっ。
 
今回のテーマは寺町。
 
城町いいやまと、寺町いいやまの関係性はもちろん深く、一方で、戦争や災害で古き町割りが現代にそこまで残らないまちですが、残る古地図の雄弁なこと。寺の配置に託す城主の思いにふけったり、城下町の範囲とかつての田畑の範囲と現代のまちを見比べて、なるほどここが境かと、妙に納得したり。古を生きた人の語ることに加え、残る地図や風景から類推する土地の人の暮らし。そして、類推するまでもなく今もこの土地に生きる手仕事の数々。

土地に生きる。

いいやまだけではなく、ほかの土地ももちろんそう。
その土地に生きることの偶然性と必然性をないまぜにしながら、なんだかんだとひとつの土地に生きる。そういう姿勢はとても泥臭く美しいことではないかと思います。(緒)
 
(編集執筆|山口美緒、デザイン|滝澤優子、写真|平松マキ・信州いいやま観光局)